足首まわりに装具をつけている方の衣類について、
- ズボンの裾が装具に引っかかって履きにくい
- 靴下はどんなものを選べばいい?
と迷われることがあります。
足首の装具には、プラスチック製のもの、金属製の支柱がついたもの、靴と一体になったものなど、さまざまな種類があります。
この記事では、比較的よく使用されているプラスチック製の短下肢装具(AFO)を想定して、ズボンと靴下を選ぶポイントを、せたがや介護の作業療法士監修のもとご紹介します。
※同じ短下肢装具でも、くるぶしの少し上までのものから、ふくらはぎまで覆うものまで形や長さはさまざまです。実際に使用している装具に合わせて確認してください。
まずは装具をつける順番を確認
プラスチック製の短下肢装具の場合、一般的には次のような流れになります。
- 靴下を履く
- ズボンを履く
- ズボンの裾を捲り上げる
- 装具をつける
- ズボンの裾を下ろす
装具をつけると足首が固定されるため、ズボンは装具をつける前に十分に裾を捲り上げられることが重要です。
一方、靴下は装具と皮膚の間に入り、擦れや圧迫を和らげる役割があります。
そのため、ズボンと靴下では、確認するポイントが異なります。
ズボンの選び方
1. 裾口が広く、よく伸びるものを
装具をつける際には、ズボンの裾をふくらはぎ側まで捲り上げる必要があります。そのため、次のようなズボンが使いやすいです。
- 裾口にある程度の広さがある
- 生地に伸縮性がある
- 裾を捲り上げやすい
裾が細かったり、生地がほとんど伸びなかったりすると、装具をつける位置まで裾を上げられないことがあります。
裾にファスナーがあり、大きく開くタイプも選択肢のひとつです。
2. 装具の一番太い部分を測ってみる
ズボンの裾幅に迷ったときは、実際に使っている装具を測ってみると分かりやすくなります。せたがや介護では、一つの目安として、次のことを確認しています。
装具の一番太い部分の外周を測り、ズボンの裾の外周に約5cm程度の余裕があるか
例えば、装具の一番太い部分の外周が35cmなら、ズボン裾の外周が40cm程度あるものをひとつの目安として考えます。
ただし、生地の伸び方や装具の形によって必要な余裕は変わります。数値だけでなく、実際に裾を捲り上げられるかも確認しましょう。
3. 裾が広ければ広いほど良いわけではありません
装具を通しやすくするために、極端にワイドなズボンを選べばよいわけではありません。特に歩行する方では、裾幅が広すぎると、次のようなことにつながる可能性があります。
- 杖に引っかかる
- 靴や装具に引っかかる
- 裾を踏む
装具を通せるゆとりはありながら、歩いたときに邪魔にならない幅を選ぶことが大切です。
4. ズボン丈は長すぎないものを
歩行する方の場合、ズボンの丈が長すぎると、裾を踏んで転倒につながる可能性があります。装具や靴をつけた状態で立ち、裾が床に触れていないかを確認してください。
装具があるからといって、丈まで長くする必要はありません。
5. 車椅子の方も、丈を長くしすぎない
車椅子に座るとズボンの裾が上がるため、
- 少し長めのズボンにした方がいいのでは?
と考えるご家族もいらっしゃいます。
ただ、車椅子を利用している方でも、トイレへの移動やベッドへの移乗など、立つ場面があります。丈が長すぎると、その際に裾を踏む可能性があります。
車椅子を利用している方も、腰・ヒップまわりにはゆとりを持たせながら、股下は基本的にご本人に合った丈を選ぶことが大切です。
ズボン選びのポイントをまとめると
- 裾口にゆとりがある
- 生地がよく伸びる
- 裾を捲り上げやすい
- 丈が長すぎない
- 極端にワイドすぎない
「装具を通せること」と「着たあと安全に動けること」の両方を見ることが大切です。
装具をお使いの方に、裾を捲り上げやすいズボン
靴下の選び方
1. 靴下は装具の下に履きます
プラスチック製の短下肢装具の場合、基本的には靴下を履いた上から装具をつけます。
大切なのは、装具が直接皮膚に当たらないことです。
装具が直接皮膚に触れると、擦れや圧迫につながることがあります。そのため、装具と皮膚の間を靴下で覆います。
2. 靴下の丈は「装具より長く」
短下肢装具といっても、その高さはさまざまです。くるぶしの少し上までのものもあれば、ふくらはぎまで覆うものもあります。
そのため、靴下が装具より短くならないことを確認してください。装具の上端が直接皮膚に触れない程度の長さが必要です。
靴下を購入する前に、まず使用している装具の高さを確認すると選びやすくなります。
3. ゴムはきつすぎないものを
装具を使用している方は、足首が動かしにくかったり、麻痺やむくみがあったりすることがあります。そのため、履き口のゴムがきつすぎず、よく伸びる靴下が使いやすいです。
装具そのものでも足が固定されるため、靴下まで強く締め付けると、圧迫感が強くなることがあります。特にむくみがある方では、ゴム跡が強く残っていないかも確認してください。
4. シワや縫い目にも注意
靴下のシワや縫い目が装具と皮膚の間に入ると、その部分に圧力がかかることがあります。そのため、次のようなものを選ぶとよいでしょう。
- シワになりにくい
- 足に適度にフィットする
- 縫い目が当たりにくい
特に感覚が低下している方では、靴下のシワや締め付けにご本人が気づきにくいことがあります。装具を外したあとに、赤みや圧迫跡がないか確認することも大切です。
5. 蒸れにくさも確認
装具を着用すると、足まわりは蒸れやすくなります。そのため、汗を吸いやすく、蒸れにくい素材を選ぶこともポイントです。汗をかいた状態が長く続くと、皮膚のトラブルにつながることもあります。
6. 厚すぎる靴下にも注意
擦れが心配だからといって、厚手の靴下を選べばよいとは限りません。装具を使用している方の靴は、装具をつけた状態を含めてサイズを決めていることがあります。そのため、靴下が厚すぎると、装具をつけた状態で靴が入らなくなることがあります。
装具を使う側と使わない側で、左右異なるサイズの靴を履いている方もいます。
靴下を変えるときは、装具だけでなく、靴まで含めて確認することが大切です。
靴下選びのポイントをまとめると
- 装具より長さがある
- ゴムがきつすぎない
- よく伸びる
- シワになりにくい
- 縫い目が当たりにくい
- 蒸れにくい
- 厚すぎない
装具をお使いの方に、締め付けの少ない靴下
赤みや擦れがあるときは?
装具を外したあとに、皮膚の赤みや擦れが見られることがあります。例えば、次のような工夫ができる場合もあります。
- 蒸れが気になる → 靴下の素材を見直す
- 擦れが気になる → 靴下の厚みやフィット感を確認する
- シワの跡がある → 靴下のサイズや履き方を確認する
ただし、赤みや擦れ、痛みなどの不調が続く場合は、衣類だけで調整しようとせず、医師やリハビリ職、義肢装具士などに相談してください。
「とりあえず大きめ」で選ばない
装具を使用していると、
- ズボンも靴下も大きめにすればいいのでは?
と思われることがあります。しかし、大きすぎる衣類には別の問題があります。
ズボンが大きすぎれば、裾を踏んだり、杖に引っかかったりすることがあります。靴下が大きすぎれば、装具の中でシワができ、皮膚に当たることがあります。
サイズだけでなく、形・素材・伸縮性・丈まで含めて選ぶことが大切です。
ご本人が以前どんな服を着ていたかも大切です
装具を使用するようになったからといって、必ずしも「介護用の服」にすべて変える必要はありません。作業療法士はリハビリの際に、次のようなことを確認することがあります。
- 入院前はどんな服を着ていたか
- 好きな素材や触り心地
- ゆったりした服が好きか
- 以前好きだった服を現在も着られるか
実際に、ご本人が以前から好きだった服を再び着られるように、リハビリで着替えの練習をすることもあります。
装具や身体機能だけではなく、その方がこれまでどんな服を着てきたのかも大切にしたいポイントです。
衣類を選ぶ前に「装具の種類」を確認しましょう
足首まわりの装具にはさまざまな種類があります。そのため、衣類を購入する前に、「どんな装具を使っているのか」を確認してください。分からない場合は、理学療法士・作業療法士や義肢装具士などに、次のことを確認すると選びやすくなります。
- 装具の種類
- 装具の高さ
- 装具をつける手順
- 装具をつけた状態での靴のサイズ
- 衣類選びで注意すること
まとめ|ズボンと靴下、それぞれ確認するポイントが違います
足首まわりに装具を使用している方の場合、ズボンは「装具をつけやすく、安全に動けるか」を確認します。一方で、靴下は「皮膚を守り、装具の中で快適に過ごせるか」を確認します。
- ズボン:裾口の広さ・伸縮性・丈
- 靴下:丈・締め付け・シワ・蒸れ・厚み
そして、装具の種類やご本人のお身体の状態によって、適した衣類も変わります。
装具を使うようになっても、その方らしい服を無理なく着られる方法を一緒に考えていくことが大切です。
衣類選びで迷われた場合は、使用している装具の種類や、ご本人のお身体の状態を伺いながら一緒に考えることもできます。装具の写真や、一番太い部分の外周を添えてLINEでご相談いただくと、ズボンや靴下を選びやすくなります。
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