気管切開をしているご家族の服を探すとき、「首元のチューブに服が触れないだろうか」「どのような襟元の服を選べばよいのだろう」と迷うことがあるかもしれません。

気管切開をしている方の衣類選びでは、首元の形状だけでなく、生地の特徴や着替えやすさなども大切です。

今回は、海外の医療機関が公開している患者向け資料も参考にしながら、気管切開をしている方の衣類選びで確認しておきたいポイントをご紹介します。

1. 首元の形状を確認しましょう

気管切開をしている方のトップス選びで、特に大切なのは、衣類によって気管切開チューブの開口部をふさがないことです。

米国のメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターでは、気管切開チューブの開口部を衣類などでふさがないよう注意を呼びかけています。

また、英国のNHS病院の患者向け資料でも、チューブの先端をふさがないことが衣類選びの条件として示されています。

そのため、首元が詰まった服や襟の高い服を選ぶ際には注意が必要です。

衣類の形状としては、次のようなものが選択肢になります。

  • 襟のないタイプ:高い襟がなく、首元にゆとりのあるもの
  • 襟ぐりが広めのタイプ:首元の生地がチューブ周辺に触れにくいもの
  • 前開きのタイプ:第一ボタンを外すなどして、首元の開き具合を調整できるもの

ただし、襟の種類や見た目だけで、安全に着られるかどうかを判断することはできません。

例えば、襟のない丸首でも首元が詰まっているものがあります。また、第一ボタンを外しても、生地が垂れ下がってチューブの開口部を覆ってしまう可能性があります。

気管切開チューブの位置や固定方法、使用している医療機器などによっても、適した衣類は異なります。

衣類を選ぶ際には、実際に着用したときに開口部をふさがないか、チューブや固定具に引っ掛からないかを確認することが大切です。

医療上の安全性については、気管切開の管理を担当している医師や看護師などに確認しましょう。

2. 生地の毛羽立ちや繊維の抜けやすさにも注意しましょう

衣類選びでは、首元の形状に加えて、生地の特徴にも注意が必要です。

気管切開をしている方は、衣類から抜けた繊維がチューブの開口部に入り込まないよう配慮することも大切です。

メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの患者向け資料でも、フリースなど、繊維が抜けやすい衣類や毛羽立った布製品を避けるよう案内されています。

特に、首元に近い部分の生地については、次のような点を確認してみましょう。

  • 毛羽立ちが強くないか
  • 繊維が抜け落ちやすくないか
  • 着用中に生地がチューブの開口部を覆わないか

冬場は暖かさを重視して衣類を選びたくなりますが、素材の特徴にも目を向けることが大切です。

なお、気管切開チューブには、医療スタッフの指示により、専用の人工鼻(加温加湿フィルター)などを使用する場合があります。

こうした医療用の器具と、衣類で開口部を覆ってしまうことは別です。器具の使用方法については、医療スタッフの指示に従いましょう。

3. 着替えやすさを考えるなら、前開きで伸縮性のある服も選択肢に

気管切開をしている方の衣類選びでは、着替えるときのことも考えておきたいポイントです。

かぶるタイプの服は、着替える際に頭から衣類を通す必要があります。

一方、前開きのトップスは頭からかぶる必要がないため、着替えの際にチューブ周辺への接触を避けやすい場合があります。

また、お身体の状態によっては、ご自身で着替えることが難しく、介助が必要な方もいらっしゃいます。

そのような場合には、前が大きく開き、生地がやわらかく伸びるトップスも選択肢になります。

衣類を選ぶ際には、次のような点を確認してみましょう。

  • 前が大きく開き、着替えの際に扱いやすいか
  • 生地がやわらかく、伸縮性があるか
  • 袖に十分なゆとりがあるか
  • 着替えの際に、チューブや固定具を引っ掛ける心配がないか

ただし、前開きであれば必ず着替えやすいわけではありません。

ボタンの留め外しが難しい方や、腕を動かしにくい方など、ご本人のお身体の状態によって適した衣類は異なります。

首元の安全性に配慮しながら、ご本人や介助する方にとって着替えやすい服を選ぶことが大切です。

前開きで着替えやすい衣類の一例

前開きや着替えやすさに配慮した衣類の一例です。気管切開をしている方への適合性を保証するものではありません。首元の形状や着用時の安全性については、医療スタッフにご確認ください。

4. 入院中の衣類は、病院に確認してから準備しましょう

入院する場合は、入院着を新しく購入する前に、病院で入院着の貸し出しがあるか、服装について指定や推奨があるかを確認しましょう。

気管切開チューブの管理や日常的なケアのために、衣類の形状について指定がある場合もあります。入院前の確認について、詳しくはこちらのコラムでご紹介しています。

入院着は買わなくてもいい?リハビリ病院への入院前に確認したいこと

5. 今ある服が使える場合もあります

気管切開をしているからといって、必ず専用の衣類を新しく購入しなければならないわけではありません。

例えば、ご自宅にある前開きのパジャマやカーディガンなどでも、首元の形状や素材、着替えやすさなどの条件が合えば、使える場合があります。

まずは、今まで着ていた服の中に、使えるものがないか確認してみましょう。

もちろん、気管切開チューブの開口部をふさがず、必要なケアを妨げないことが前提です。

大切なのは、気管切開をしているから特別な服を買うことではなく、ご本人のお身体の状態や生活に合った衣類を選ぶことです。

衣類を選ぶ前に確認したいポイント

  • 首元が、気管切開チューブの開口部をふさがないか
  • 生地が毛羽立っていたり、繊維が抜けやすかったりしないか
  • 着替えのときに、チューブや固定具に引っ掛からないか
  • 入院中なら、病院の貸し出しや服装の指定を確認したか
  • 使ってよいかを、医師や看護師などに確認したか

6. 衣類選びで迷ったら、せたがや介護へ

  • 「首元にゆとりのある前開きの服を探している」
  • 「着替えに介助が必要なので、着せやすい服を選びたい」
  • 「今のお身体の状態に合う服が分からない」

そんなときは、せたがや介護にご相談ください。

せたがや介護には、理学療法士・作業療法士が在籍しています。

ご本人のお身体の状態や、着替えの際に困っていること、日々の生活環境などを伺いながら、衣類選びのお手伝いをしています。

ただし、気管切開チューブの管理や、衣類が医療上問題なく使用できるかどうかについては、医療スタッフによる確認が必要です。

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今ある服で使えるものは活かし、新しく必要になった衣類だけ、一緒に考えましょう。

せたがや介護は、ご本人にもご家族にも安心していただける衣類選びをお手伝いします。

参考資料・出典

本記事の気管切開チューブ周辺の安全性に関する説明は、以下の医療機関が公開している患者向け資料を参考にしています。

1. Memorial Sloan Kettering Cancer Center(米国):気管切開チューブの開口部を衣類でふさがないこと、フリースなど繊維が抜けやすい衣類を避けることについて説明されています。

Memorial Sloan Kettering Cancer Center: Caring for Your Tracheostomy

2. Gloucestershire Hospitals NHS Foundation Trust(英国):気管切開チューブの先端をふさがないことを、首元の衣類選びの条件として説明しています。

Gloucestershire Hospitals NHS Foundation Trust: Temporary tracheostomy

※本記事は衣類選びの一般的な情報を提供するものであり、個別の医療上の安全性を保証するものではありません。実際の衣類選びでは、気管切開の管理を担当する医療スタッフの指示を優先してください。